JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 AI2014-4-2
発生年月日 2011年09月06日
発生場所 串本の東約69nm、高度約41,000ft
航空機種類 飛行機
事故等種別の分類
(Occurrence Category)
LOSS OF CONTROL-INFLIGHT
飛行の段階
(Phase of Flight)
EN ROUTE
人の死傷
航空機区分 大型機
型式 ボーイング式737-700型
登録記号 JA16AN
運航者 エアーニッポン株式会社
事故等種類 異常姿勢からの急降下
報告書(PDF) 公表説明資料
公表年月日 2014年09月25日
概要  エアーニッポン株式会社所属ボーイング式737-700型JA16ANは、平成23年9月6日(火)、全日本空輸株式会社の定期140便として那覇空港から東京国際空港へ向けて飛行中、22時49分ごろ、串本の東約69nm、高度約41,000ftにおいて、機体が異常な姿勢になり急降下した。
 同機には、機長、副操縦士、客室乗務員3名、乗客112名(うち幼児1名)の計117名が搭乗していたが、そのうち客室乗務員2名が軽傷を負った。
 機体の損壊はなかった。
原因  本重大インシデントは、同機の飛行中、操縦室に機長を入室させるため、副操縦士がドアロックセレクターを操作するつもりで誤ってラダートリムコントロールを操作したことにより、オートパイロットによる姿勢の維持が限界を超えて機体が異常な姿勢となるとともに、その認知が遅れ、加えてその後の姿勢回復操作の一部が不適切又は不十分であったため、更に異常な姿勢となり、浮揚する力を失ったことなどから急降下に至り、「航空機の操縦に障害が発生した事態」に準ずる状態に陥ったものと推定される。
 ドアロックセレクターを操作するつもりで誤ってラダートリムコントロールを操作したことについては、副操縦士に以前乗務していた737-500のドアロックセレクターの操作記憶が十分に修正されずに残っていたこと、及び737-500のドアロックセレクターと737-700のラダートリムコントロールの配置・形状・大きさ・操作上の類似点が関与したと考えられる。以前の操作記憶が十分に修正されずに残っていたことについては、副操縦士にはドアロックセレクターの配置変更が身に付いていなかった可能性が考えられ、これには配置変更したスイッチの操作をどのように訓練するのかについて、エアーニッポン株式会社を含めた航空会社が検討・策定して国土交通省航空局が審査・承認する、差異訓練に関する訓練・審査の内容を決定するための現在の仕組みが十分に機能していなかったことが関与した可能性が考えられる。また、副操縦士が適切にタスク管理できなかったことが誤操作に関与したと考えられる。
 誤操作の認知が遅れたことについては、ドアロックセレクターとラダートリムコントロールの操作上の類似点が関与した可能性が考えられる。また、副操縦士がオートパイロットによる操縦に依存し、飛行状態を監視する意識が不十分であったことが関与した可能性が考えられる。
 回復操作の一部が不適切又は不十分であったことについては、回復操作中にスティックシェーカーが作動するという予期しなかった異常事態に副操縦士が驚き混乱したことが関与した可能性が考えられる。驚き混乱したことには、失速警報を伴った異常姿勢からの回復訓練、及び予期しないで発生する異常姿勢から回復する訓練を受けていなかったため、副操縦士には本重大インシデント時にそれらが初めての経験であったこと、及び高高度における異常姿勢からの回復訓練を副操縦士が受けていなかったことが関与した可能性が考えられる。
死傷者数 立ち上がった状態で業務をしていた客室乗務員2名が軽傷を負った。
勧告・意見 勧告/安全勧告
情報提供
動画(WMV) 右上から見た機体(1分)
左下から見た機体(1分)
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    なお、動画はWMV形式でデータ速度は1000kbpsです。